金融社畜日記~証券リテール残酷物語~

時代錯誤な昭和の趣を残す職場、大手証券会社(リテール!)で働く人(働いていた人)の現在進行形日記です。良いところ悪いところ投資に役立つちょっとした豆知識を載せていきます。

証券会社のリテール営業は変わったか⑤(大相続時代)

親が高齢になってくると、その子供や孫が気になるのは何でしょうか。それは、親のことを悲しむ気持ちより、ずばり相続で自分が幾ら手取りを貰えるかなのです。

嫌、そんなことはない。兄弟仲良くやってきたし、両親とも仲良く、お金のことを考えているなんて浅ましいな!

なんて考えている一族が、いざ親が死んでしまうと、争う族(争族)になってしまうのです。

実は、日本の金融資産保有構造を見ると、景気循環の中で突出して60歳台以上の占有率が高いのです。有利な金利、上昇相場、年功序列、高額な年金、高額な退職金…と資産形成には大変有利な時代を過ごしてきた方が多いからです。

しかしながらその子供はバブル期に就職し、または崩壊後に就職し、大量採用や就職氷河期のさなか、大量採用組は中年に大規模なリストラに遭う方も、氷河期世代はそもそもまともな職に就いていない…等世代間格差が激しいのです。そうなると十分な貯蓄はなく、日ごろの生活も厳しい人も中にはいます。一部の勝ち組という立場に入れなかった人以外は大変苦しい世代であると思います。

ということは、それら親の資産は当然、現金だけでなく株式で持っている場合も多く、バブル世代や氷河期世代は職場のIT化などで、詳しい方も多数おり、それらの相続での資産はインターネット証券に流れることが多いのです。

なぜなら、インターネット証券は非常に売買の手数料が安く、余計なセールスによる荷電や訪問がないため、現役で働く忙しい彼らにとって最適なのです。

だからこそ、現在の高齢者がいなくなってしまったあとの高齢者になるこの世代を大手証券会社に振り向かせることは大変重要なのですが、やはり私も営業活動をしていると、奇特にも手数料を多く払ってでもアドバイスを受けたいなどという50代はいませんでした。

しかしこの高齢者取引ルールのおかげで証券会社の収益構造の転換がありました。

実を言うとこの苦境で大手証券会社はある商品を売ることでむしろ、従来よりも儲ける構造をつくりだしたのです。