金融社畜日記~証券リテール残酷物語~

時代錯誤な昭和の趣を残す職場、大手証券会社(リテール!)で働く人(働いていた人)の現在進行形日記です。良いところ悪いところ投資に役立つちょっとした豆知識を載せていきます。

証券会社のリテール営業は変わったか②(通話は録音される)

さて、今の証券会社のおそらくほとんどでは、顧客とセールスとの会話はすべて録音されているそうです。私がかつて勤めていた証券会社でも、録音されており、たしかNECIP電話外資系のシステムを使って、サーバーにて記録を残していたと記憶しています。大手証券だとNECに限らず、CISCOなどのIP電話システムを使っていると思います。皆さんの職場は如何ですか。

さてこれらのシステムは身勝手な営業活動の自由をなくさせ、顧客からの商品リスクの言質ととるために使われています。いわゆる言った言っていないを無くすために取り入れられているのですが、これが曲がりものです。

例えば、営業職に限らず仕事をしている場合は、何かしら相手に色を付けて商談をしなければならないことがあります。それは商習慣の暗黙の了解というか、それを分かってしている人は多くいます。(リベートを要求するなど)

しかしながら金融商品という性質上リスクやコストの説明は大変難しく、簡単に顧客にすぐ買ってもらうということは難しく、何とかいろいろな条件を付けて切り売りするしかないのです。

そのために、会社の利益の上からどうしても顧客を痛めてしまう商品もあり、その代わりに大変儲かる可能性のあるIPO(新規公開株)やCB(転換社債)で色を付けることがあります。

これは、抱き合わせ販売といい、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律独占禁止法)第19条違反となる、立派な犯罪です。

ですが、録音システムがない当時では、電話では当然のごとくこれらを顧客に行い、顧客も分かっていました。

今では、そういう会話が残ると一発でアウト(懲戒解雇の対象)ですので、当然のごとく営業活動は難しくなりました。必ず顧客と注文内容を復唱確認させて電話記録に残させる必要があり、これを受注行為といい、商品を買った買わない、リスク理解したしていないの決定的な証拠となり、会社を守るという意味での顧客に対する強い盾になるのです。

言質を取るために紙で注文内容を顧客に書かせていた時代もあったのですが、セールスが勝手に顧客の印鑑を付いたり、字を複写して偽造したことが多かったため、電話に残すことになってしまったそうです。(あくまで伝聞です。)

因みに、これは別に投資家保護のためにやっているのではなく、世間の目が証券会社に対して大変厳しくなっており、自分たちのリーガルリスクを無くすためにやっています。これをコンプライアンス法令遵守)だと本社は言っていましたが、今まで当社は法令を守っていなかったのか、そうだったのか。と冗談ながら、冗談とは思えなく、笑ってしまいました。

そのために、慎重に慎重に顧客と連絡を取らざる負えなくなり、融通が利かない会話になり、どんどんインターネット証券などに顧客が流れて行っています。

では、訪問して商品を説明して、あとは示し合わせて、電話に記録を残せばいいんじゃないかというところ、そうでもないのが次の現実です。